
ご覧いただきありがとうございます!
フリーランス漫画家のすずつかしおりと申します。
今回は漫画やイラスト制作を承る際、著作権の譲渡をお断りしているのはなぜか解説します。
依頼者の方の中には、ご相談の際に「著作権譲渡をお願いしたい!」という方は多くいらっしゃいます(クラウドソーシングだと特に多い印象です)。
しかし、私は基本的にこちらのご希望はお断りしています。その理由について解説します!
2026/03/11追記:制作物の改変について認識が誤っていた部分があったため修正を行いました
【使用料が請求できなくなる】
まず、使用用途が増えた際に追加の使用料がいただけない点があります。
漫画やイラストのご依頼にかかる金額には、制作費と使用料が含まれています。
(使用料の話題は別途記事にしていますので良ければご覧ください!)
使用される用途が多岐にわたる際はそのぶんの使用料を加算しますが、これができるのは制作物の著作権が制作者にあるためです。
もし最初に依頼をされたのが「チラシで使用するため」であった漫画が、後からウェブサイト掲載、SNSでの掲載、ポスターに使用、動画に使用、など用途が増えたとしても使用料はいただけなくなり、利益を得る機会を失ってしまいます。
【想定していない場面で使われる場合がある】
上記の使用用途が増えることもこちらに含まれるかと思いますが、使用用途の他に使われるジャンルが変わってしまう場合が考えられます。
例えば教育の場面で使うとご依頼いただいた制作物を、成人向けサービスの宣伝でも使用される可能性があります。
極端な例ですが、著作権は再譲渡も可能なため、こういった想定していない場で使われることも考えなくてはなりません。
こちらは下記の点にも関わるため、制作側としては避けたい点となります。
【競合バッティング制限の問題がある】
案件によっては競合バッティング制限が設けられる場合があります。
競合バッティング制限とは、商品やサービスなどの広告を制作した場合、その同業他社からの依頼は一定期間受けられなくなる制限のことです。
著作権を譲渡すると使用期間や用途を指定、把握できないため他のご依頼を受ける際にバッティングをしないかどうかの判断ができなくなります。
こちらを特に意識するのは広告・宣伝のご依頼なので場合によりますが、何かの宣伝等に使用される可能性も考えなくてはなりません。
主に以上の点から著作権の譲渡はお断りしております。
【著作権譲渡以外の方法をお考えします】
「作ってもらった漫画を他に使われたら困る」
「もしかしたら利用用途は増えるかもしれないけど、現時点では分からない…」
「用途が増えるたびに許可を取るのは大変!」
とお考えになるのも分かります。
ですが、著作権譲渡でなくとも上記の問題は解決できます。
私の場合はご依頼を受けて制作した漫画やイラストを他のお客様へご提供することはありません。
使用料に関しても、一定の期間を決めてその間は使用用途を定めず好きに使える、といったような条件をご提案することも可能です。
【まとめ】
「著作権譲渡の方が分かりやすい」と考えたり、「場合によっては著作権譲渡契約をすべき」とすすめるような記事もありますが、クリエイターにとって著作権は非常に大切な権利です。
お客様の事情に合わせた方法をご提案いたしますので、ご理解いただけますと幸いです…!
ここまで読んでいただきありがとうございました!
【余談:著作者人格権について】
著作権には「著作者人格権」と「著作財産権」があり、譲渡ができるのは後者の著作財産権となります。
前者の著作者人格権は譲渡ができないもので、こちらには「公表権」「氏名表示権」「同一性保持権」といった権利が含まれています。
もし著作財産権を譲渡していても、著作者人格権の同一性保持権によって著作者の意思に反した改変はされないことになります。
著作者人格権については「行使をしない」といった契約を求められる場合があります。
こちらも私は基本的にはお断りしています。


